目白の家

目白駅からほど近い住宅街に立地する、家族3人が暮らす住宅である。住宅の建て込んだ環境にはあるが、南と東が道路の角地のため日当たりは期待できる。一方で、その開きたい方向(道路側)に対して、通行人や近隣との距離感をどのようにつくるかが課題であった。

駐車場は設けていない。その分の余白を、玄関前に広さをもたせ、ゆったりと自転車を停め、雨水タンクや設備機器を設置し、地面にはできるだけ緑を植え、街との距離感を獲得するために使いたかった。とはいっても、大きな庭が取れるほどではく、道路からなんとか1M少しの距離が取れる程度である。このままでは少し足りないのだが、それに加えて一部建物を窪ませ、1M+1M=2Mの2Mを緩衝帯と捉えるように発想した。


2階にメインの居場所が配置されているが、ここでも、バルコニを介して、またすこし窪んだ窓先を介して、道路に開いている。ここには、緑を設置することや、簾をかけることもイメージできる。この緩衝帯のおかげで、室内から適度に距離感を保って外部を感じることができる、落ち着いた空間となった。

街との距離感は立地や計画によって様々である。今回の計画では、壁や塀で閉じきってしまわないなかで、有効な緩衝帯ができないかと考えた。暮らしを守りながらも、街がすぐ近くにあるような感覚を大切にしたかったのである。


目白の家

用途:個人住宅
所在:豊島区目白
竣工:2014年4月
構造:木造
階数:地上2階

敷地面積:87.55m²
建築面積:56.83m²
延床面積:112.99m²
設計:佐久間徹設計事務所
構造:筬島建築構造設計事務所
施工:匠陽

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